ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

Space Designerの先輩に聞く

vol.3 嶋﨑あやさん

2020.10.7

建築資材の商社で3Dパース作成を担当している嶋﨑あやさんに、3Dパース作成やお仕事についてお話を伺いました。


嶋﨑あやさん
嶋﨑あやさん

――お忙しいところご協力いただきありがとうございます。まずは、現在お勤めの会社と、そこでどのようなお仕事をされているのかを教えてください。

嶋﨑さん: 下地材から仕上げ材まで幅広い建築資材を取り扱う商社に勤めています。

実はこの7月に移動になり、現在は、建物の内観を360度カメラで撮影しWeb上でVRとして展開するサービスを提供するチームで、主に撮影されたデータを編集する仕事をしています。

以前は別部署にて内装提案に関わる仕事の中で、主にパース作成を担当していました。この仕事は主業務の傍らで、現在も継続しています。

――VRのお話も興味深いですが、今回は3Dパースに関連したお話をお聞きできればと思います。どのようなきっかけで3Dパース担当になられたのでしょうか。

嶋﨑さん:新卒で現在の会社に入り、最初は営業事務として資材の受発注業務を担当していました。業務に慣れた頃に、会社で新たに内装提案をするサービスを立ち上げることになり、その中でパースの作成を任せてもらう機会をいただきました。すごく興味があったので声をかけていただきすぐに受けました。

――これまで別のお仕事をされていたとのことですが、どこで3Dパースの勉強をされたのですか?

嶋﨑さん:「マイシーンデザイナー」と「ウォークインホーム」というソフトを独学で学びました。周りに聞ける人がいなかったので、メーカーのサポートを受けたり、自分で調べたりしながら徐々に使い方を覚えていきました。

最初はつまずくことが多く、時間もかかり、大変でしたね。受発注業務の中で図面を見る機会もあったのですが、パース作成のために正確に図面を読み取ることも大変でした。使いこなせるようになるまで1年くらいかかったでしょうか。

この仕事を任されるようになり、インテリアの勉強も必要だと感じたので、昨年(2019年)、インテリアコーディネーターの資格を取得しました。

――3Dパース関連のお仕事で、特に印象に残っている案件はありますか?

嶋﨑さん:新たに建設する、不動産デベロッパーの賃貸マンションシリーズの内装提案です。これまでのシリーズと違った、ちょっと遊びゴゴロのあるものにしたいとうい要望を受けての提案でした。

ヒアリングした要望や図面を基に、キッチンにはこのメーカーのこの機種、クロス・床材はこれで、と具体的な資材を入れ込んでパースを描き、色を変えてみたらどうなるか、などとチームで検討を重ねました。

この件では、内装提案の採用が決定してからも、細かい寸法を詰めながら変更していき、現場と誤差のないパースに仕上げました。さらに、パースの中に実際のメーカーの家具や照明まで配置し、早期入居募集にご活用いただきました。

最終的には、パースに配置した家具や雑貨、インテリアグリーンなどを現場に設置するホームステージング*にも関わりました。提案してからマンションが建ち内装を見るまでに、1年くらいかかってますね。

*内覧会のための家具を入れたモデルルーム

――長期間にわたって担当されたのですね。完成時した時には喜びもひとしおだったのではないですか?

嶋﨑さん:はい、1年にわたって関わったので、楽しかったし、やりがいも感じました。実際に建った時には、すごく嬉しかったです。

パース作成にあたっては、修正とレンダリングを繰り返し、何回も提出したこともあり、正直しんどいなと思うこともありました。

しかし、実際に建ったマンションの部屋を見たら、そんな思いも吹き飛ぶくらい嬉しかったです。実際の部屋と誤差のないパース作成ができた、と実感できたことも自信につながりました。

――今後、やってみたいことや学びたいことがあったら教えてください。

嶋﨑さん:内装の提案やパースを描くのが楽しいし、やりがいも感じているので、これからも建築や内装の仕事に関わっていきたいと思います。

今は3Dパース専用のソフトウェアでしかパースを描けないのですが、今後はCADを勉強したいです。CADで図面を描いたり、3Dモデリングができるようになることが目標です。

――嶋﨑さんは2019年度Space Designer検定で金賞を受賞されましたよね。この検定試験についてお聞かせください。

嶋﨑さん:検定試験のパンフレットを見て、私がやっていた業務と直結していたので、受けてみようと思いました。

受けてみて、実際に本当に普段やっていることと同じだと思いました。私はやり始めるとこだわって続けてしまうタイプで、この課題にも時間をかけて取り組みました。間接照明の表現はあまり経験がなく、光の加減調整が難しかったけれど、それも含めて楽しかったです。

 

インタビュー中、ずっと笑顔で応えてくださった嶋﨑さん。ソフトを覚えるのも、パース画作成のお仕事も、楽しみながら取り組まれてきたことがお話から伝わってきました。お忙しい中ご協力いただき、ありがとうございました。



嶋﨑さんの受賞作品は、こちら>>>